オペ室歴16年目の私が実践する「無理なく働く」5つの工夫

私は以前、うつ状態と診断されて数ヶ月休職した経験があります。
そのときは、自分を追い込みすぎて、心身ともに限界が来てしまいました。

でも、復帰するときは、自分の意志でオペ室に戻ることを選びました。
オペ室の仕事が嫌いなわけではなく、むしろやりがいを感じていたからです。

それでも、もう二度と同じように無理はしたくない。
だからこそ、心も体も無理なく働くための工夫を模索し、少しずつ実践しています。

看護師は頑張りすぎてしまう職業。
特にオペ室は、スピードや正確さが求められ、緊張感が強い場所ですよね。

そんな中で、私は「頑張らない」ことも大切な選択肢だと感じています。

今回は、私がオペ室で無理なく働くために意識している5つのポイントを紹介します。
どれも簡単だけど、日々の疲れを少し軽くしてくれるヒントになれば嬉しいです。

「無理なく働く」ための5つのこと

完璧を目指さない。80点でOKと思う

看護師って、真面目で責任感の強い人が多いですよね。
私自身も、「どんな状況でも完璧にやらなきゃ」「患者さんの命がかかってるんだから」と、常に完璧を目指していました。

でも、オペ室の仕事って、完璧にやろうとすればするほどキリがない。
細かい確認、記録、準備、報告――すべてを全力でやっていたら、毎日が消耗戦になってしまいます。

そこで私は、“優先順位をつける”ことを意識するようになりました。
全部を完璧にこなそうとするのではなく、「今、何を最優先にすべきか?」を考えるようにしたんです。私が意識している優先順位のつけ方はこんな感じです。

✅ 最優先:患者さんの安全に直結すること

  • 患者確認(ID、手術部位、術式など)
  • タイムアウト・ダブルチェック
  • 無菌操作、器械のカウント、薬剤確認など

✅ “80点でOK”と考えること

  • 記録の文章のきれいさ(伝わればOKという日があっても良い)
  • 器械の並べ方や準備の効率(多少の違いは問題なし)
  • 他人の目や評価(気にしすぎない)

✅ 後回し・簡略化してもよいこと(状況次第で)

  • 休憩中のやり取りをしない(一人になりたいときはゆっくり休む)
  • 片付け時の細かい整頓(支障なければ最低限にする)

もちろん、手を抜くとか、雑にやるということではありません。
大事なのは、「自分にできる範囲でベストを尽くす」こと。
でも、「もっとできたかも」と自分を責めないことも同じくらい大切なんです。

今日も80点くらいでよくやったね。十分だよ。

そう自分に声をかけるようにしてから、心が少し軽くなりました。
「完璧じゃなくても、ちゃんと看護してる」――そう思えるようになったことは、私にとって大きな変化でした。

苦手な人とは「一定の距離感」を意識する

私はもともと、どんな人に対してもできるだけ愛想よく、波風を立てないように接するタイプでした。
苦手な人でも、表面上はニコニコしてうまくやり過ごす。
でも内心では、「嫌われたくない」「空気悪くしたくない」と気を張ってばかりで、仕事以上に人間関係でぐったりすることが多かったんです。

あるときふと、「私、なんでこんなに気を遣ってるんだろう?」と疑問に思いました。
オペ室はただでさえ緊張感が高い場所なのに、人間関係でも神経をすり減らしていたら続かない。
そこから少しずつ、“必要以上に関わらない”距離感も意識するようになりました。

今は、挨拶と報連相だけは丁寧に。それ以外は無理して会話を広げようとしない。
それだけで、人間関係のストレスがかなり減りました。

「全員と仲良くしなくていい」って、自分に許可を出してあげたら、
思っていた以上に気持ちがラクになったんです。

オペ室はチームで動くからこそ、心の余白も大事。
“がんばらない距離感”も、働き続けるための大切な工夫のひとつだと思っています。

朝のルーティンで“自分を整える”

オペ室の朝って、戦場の前の静けさというか、独特の緊張感がありますよね。
機器の準備、器械出しの確認、情報収集、術前訪問…。
一歩間違えれば命に関わる現場だからこそ、空気はピリッと張りつめています。

だから私は、朝の自分をどう整えるかをすごく大事にしています。

私のルーティンは、出勤して着替えたあと、休憩室でカフェラテを飲むこと
うちの職場では、スタッフみんなでネスカフェアンバサダーのレンタルマシンを使っていて、スターバックスのカフェラテやコーヒーが飲めるようになっています。
それがちょっとした楽しみになっています。

たった数分でも、カフェラテの香りと温かさに包まれると、
「よし、今日も無理せず淡々とやろう」って、少しだけ前向きになれるんです。

無理に気合いを入れるんじゃなくて、
自分を落ち着かせる“静かな儀式”みたいなものかもしれません。

忙しい朝でも、自分のペースを取り戻す。
それが、オペ室で無理なく働くための小さなコツだと感じています。

しんどい日は、あえて「手を抜く」場所を作る

看護師って、「どんな日でも全力でやらなきゃ」と思いがちですよね。
でも実際には、体調がいまいちだったり、寝不足だったり、メンタルが落ちていたり…。
どうしてもフルパワーで働けない日って、誰にでもあります。

以前の私は、そんな日でも無理して完璧にこなそうとして、
終わるころには心も体もすり減っていました。

でも今は、“あえて手を抜く場所”を自分で決めるようにしています。

たとえば、準備から手術中までは集中して、しっかりやる。
そこは患者さんの安全に関わる大事な時間なので、絶対に気を抜きません。

でも、患者さんが退室したあとの片付けの時間は、少しだけ緩めています。
同じチームのメンバーとたわいもない話をしながら、
「今日はここまでやれたね」と自分たちを労わるような感覚で片付けをしています。

「全部を全力でやらない。抜けるところは抜く」
それだけで、1日の疲れ方が全然違うようになりました。

もちろん、安全やルールは守ったうえでの“手の抜き方”。
でも、そうやってメリハリをつけることで、無理せず働き続ける力が湧いてくる気がします。

自分を責めない・他人と比べない

オペ室って、どうしても比較されやすい環境だと思います。
動きの早い人、器械の名前をすぐ覚える人、医師に信頼されている人…。
すごいなぁと思う反面、「自分は全然ダメだな」って落ち込んでしまうこともありました。

私も一時期は、できる人と自分を比べては、
「あの人みたいになれない」「私は向いてないのかも」と、自分を責めてばかりいました。

でもあるとき、ふと気づいたんです。

「私には私のペースがある」って、誰も教えてくれなかったなって。

それからは、できることに目を向けて、昨日の自分と比べるように意識を変えていきました。

手術が無事に終わった。
患者さんにちゃんと声をかけられた。
一つでも落ち着いて処置ができた。
――そんな小さな「よし」があれば、それでOK。

「ちゃんとやれてないな」と思う日も、「今日も無事に終わったからよし!」と、
自分を認めてあげるようにしています。

他人と比べるより、“今の自分をそのまま受け入れること”が、一番の心の余裕につながるのだと、今は思います。

まとめ:頑張らないって、逃げじゃない

オペ室って、集中力も体力も気力も必要な、なかなかハードな職場ですよね。
でも、だからこそ「無理しない」「がんばりすぎない」という働き方を選ぶことは、
決して逃げではなくて、自分を大切にするための知恵だと思うようになりました。

今回ご紹介した5つの工夫は、どれもすごくシンプルなことばかり。
でも、私自身が16年かけて少しずつ身につけてきた、大切な“自分を守るコツ”です。

  • 完璧を目指さない。80点でOKと思う
  • 苦手な人とは一定の距離感を意識する
  • 朝のカフェラテで心を整える
  • 手を抜けるところは、ちゃんと抜く
  • 他人と比べず、自分を責めない

この中のどれかひとつでも、今ちょっと疲れているナースの方のヒントになれば嬉しいです。

「がんばらない」という選択も、
看護師として働き続けるための、大切な力だと思っています。

この記事が、今ちょっと疲れてるオペ室ナースさんの心に届けば嬉しいです。
「頑張らない」って、意外と大事ですよ。

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